しじみに含まれるビタミンB12
1.しじみとビタミンB12
私たちが良く知っている2枚貝と言えば、あさり、はまぐり、しじみの三つが代表格ではないでしょうか?その中でも大きさとしてはもっとも小さなのがしじみです。しかし、その中にはいろいろな栄養素が詰まっているのです。例えば、あさり比較するとしじみのエネルギーはあさりよりも大きく、含まれている栄養分を見るとカルシウムやビタミンB12、ビタミンE、ビタミンB2ではあさりよりも多くの含有量を誇っています。
エネルギー | カルシウム | ビタミンB12 | ビタミンE | ビタミンB2 | |
---|---|---|---|---|---|
しじみ | 51cal | 130㎎ | 62.4μg | 1.7㎎ | 0.25mg |
あさり | 30cal | 66㎎ | 52.4μg | 0.4㎎ | 0.16㎎ |
この中で、ビタミンB12に関していえば、もともと魚介類には多く含まれるものですが中でも、しじみに含まれるビタミンB12の量は最も多い部類に属しています。例えば、牛レバーでは52.8㎍、いくらでは47.3㎍、焼きさんまで19.3㎍、サバでは10.6㎍といったレベルです。
ここでは、しじみに含まれるビタミンB12の効能について考えてみます。
2.ビタミンB12の働き
ビタミンB12には造血作用や睡眠のリズム調整や神経細胞に働きかけるなど私たちの日常生活に大きな影響を及ぼします。例えば、造血作用を考えると、このビタミンB12が不足した場合には貧血を引き起こすこととなります。通常、貧血と言うと鉄分が不足することが原因と思われますが、ビタミンB12は葉酸と共に鉄分によって作り出された赤血球を正常なものに成長させる働きがあるのです。つまり、鉄分が原料となって赤血球が合成されますが、このビタミンB12が不足していると葉酸と共に正常な赤血球に成長させることができません。そして通常より大きくて働きの悪い赤血球となってしまい、身体中に十分な酸素を供給できなくなってしまいます。その結果、めまいや息切れ、疲れやすいなどといった貧血の症状が出やすくなるのです。
また、睡眠のリズムは通常は夜になると眠くなり、朝になって明るくなると目が覚めます。このリズムは脳から分泌されるメラトニンによってコントロールされているのですが、メラトニンの分泌量はビタミンB12によって調整されているのです。ですから、ビタミンB12が不足するとメラトニンの分泌が十分にコントロールできずに、不眠や目覚めが悪いといった睡眠障害の症状を引き起こす可能性が高くなります。メラトニンの分泌量をコントロールすることも含めてビタミンB12をはじめとする多くのビタミンが脳からの指令を伝達する神経系統の働きに関係しています。例えばビタミンB12は脳内伝達物質であるアドレナリンの生成に大きく関係しています。また、ビタミンB12には神経細胞を形成する物質、つまり遺伝子であるDNAの主な成分である核酸の合成を助ける働きがあります。このようなことから神経系が原因とされている腰痛や時差ボケや不眠症などの睡眠障害の解消にはビタミンB12の大量摂取が有効だとされているのです。
3.必要なビタミンB12の摂取量について
しじみに含まれるビタミンB12の量は群を抜いています。その含有量はしじみ100gあたりで62.4μgです。そして、ビタミンB12の必要摂取量は2015年に厚生労働省から発表された資料によると成人男女ともに2.4μgとされています。また妊娠中の女性では2.8μg、授乳中の場合は3.2μgとされています。しじみの味噌汁一杯に含まれるビタミンB12の量は8.4μg程度とされていますので、一日に一杯のしじみの味噌汁を飲んでいれば十分であると言えます。また、ビタミンB12は、大量に摂取した場合に弊害を及ぼすことはないため、摂取量の上限は設定されていません。ビタミンB12を大量に摂取した場合には、その吸収の限界に達したとしてもそれ以上は吸収されることがないのです。従いまして、ビタミンB12の摂取に際しては過剰摂取を気にする必要はありません。
4.より効果を高めるために
鉄分と葉酸で合成された赤血球を成長させるにはビタミンB12とともに葉酸を摂取する必要があります。しじみに含まれる葉酸の量はそれほど多くはありません。従って葉酸を、しじみ以外の食物から補給する必要があります。葉酸は緑黄色野菜であるブロッコリーやアスパラガス、春菊やホウレン草などとから摂取することを考えましょう。このようにしじみの味噌汁と共に緑黄色野菜を摂取することが大切です。
5.まとめ
しじみに多く含まれるビタミンB12は葉酸とともに赤血球を成長させる役割や、神経系統を正常に機能させる働き、そして睡眠障害を改善する働きなどがあります。また、その摂取に際して過剰摂取は気にする必要はありません。ただ、造血作用を期待する際には葉酸も共に摂取する必要がありますが、しじみには十分な量の葉酸は含まれていないため、緑黄色野菜と共に摂取する必要があります。一日一杯のしじみの味噌汁を緑黄色野菜と共に摂取することでビタミンB12の欠乏を防ぎ、造血作用をサポートし、神経系統の正常な働きを維持しストレスに強い、健康な状態を維持するように心がけましょう。