輸入されるしじみの原産国
1.しじみの消費量について
総務省の家計調査から2012年から2016年の平均値でしじみの消費量を探ってみました。
1世帯当たりのしじみ消費量は299gで、もっとも多いのは島根県で1,782g。2位秋田県で832g、3位は青森の762gと続きます。消費量が最も少ないのは鹿児島県の68gで、これに熊本県、兵庫県、福岡県などが続いています。ここからわかることは、しじみの産地である島根県、青森県、茨城県や北海道の周辺での消費量が多いことがわかります。
しじみの漁獲量は昭和45年には5万5千トン程度あったものが平成20年度では10,000トンを割るまでに減少しています。
一方で平均単価の方は上がる一方となっています。
これは需要があるにもかかわらず、漁獲量が減っているために価格があがっているのだと言えます。
2.輸入されるしじみの原産国
前述の通り、国内での漁獲量の減少に伴い、海外からの輸入に頼る傾向にあります。それではしじみが獲れる主な国はどこなのでしょう?
中国、ロシア、台湾、韓国、北朝鮮、インドなどがあげられます。この中で、中国、ロシア、韓国ではしじみを食べる習慣もあるようです。
また、輸入量で最も多いのは中国であることは変わっていませんが、韓国や北朝鮮、インドと言った国からの輸入は今ではほとんどありません。これは都市部の開発が進むことによってしじみの生育環境が維持されなくなったことの影響ではないかと推測されています。このことより、現在では輸入される国としては、中国、ロシア、韓国が主流となっています。
3.輸入における問題点
中国や台湾から輸入されシジミは日本のマシジミとよく似ていて、タイワンシジミと呼ばれます。
特にここで注目すべきは輸入の最大手が中国であることから日本に入ってくるしじみの殆どはタイワンシジミだということです。
タイワンシジミは大変繁殖力が強く、マシジミとも区別がつきにくいのです。また、このように輸入されたタイワンシジミであっても、国内に入ってきてから、いったん国内の河川や湖沼に放たれた後に採取することで国産と謳えるということも後押しして、日本国内においてタイワンシジミが広がったとも言えます。
また、タイワンシジミもマシジミも雌雄同体ですが、卵が発生する時に卵側の核が精子側の遺伝情報に置き換えられる場面があります。この時、タイワンシジミが共生していて、その精子を大量に吸い込んだマシジミが受精するとそのシジミから生まれるのはタイワンシジミになってしまいます。このような背景から日本のなかでもタイワンシジミの繁殖が進んでいることが考えられます。
4.注意点
輸入されるしじみの原産国は主に中国、ロシア、韓国となります。しかし、中国産はタイワンシジミに分類され、マシジミとよく似ていますが、味はやはりマシジミが勝っています。そのマシジミがタイワンシジミにとってかわる仕組みも明らかになっています。また、ロシアのしじみはその価格面の優位性で輸入量も拡大していく可能性があります。私たち日本人にとっては日本の環境で獲れる資源を大切にしたいものです。そのためにも外国産のものか日本産のものかをよく吟味して購入するようにしましょう。