しじみ情報局

しじみに含まれるカルシウム

1.しじみとカルシウム

しじみには多くの栄養素が含まれています。しじみはあさりやはまぐりなどの他の2枚貝と比べるとその身は小さいですが含有量は多い栄養素があります。例えば、カルシウムやビタミンB12、ビタミンE、ビタミンB2ではあさりよりも多い含有量を誇っています。

100gあたりに含まれる栄養素の比較
エネルギー カルシウム ビタミンB12 ビタミンE ビタミンB2
しじみ 51cal 130㎎ 62.4μg 1.7㎎ 0.25mg
あさり 30cal 66㎎ 52.4μg 0.4㎎ 0.16㎎

カルシウムはもともと牛乳やチーズなどの乳製品、小魚などに多く含まれるもので貝類の中でもしじみに含まれるカルシウムの量は多く、あさりに比べると2倍程度となっています。カルシウムは大切な栄養素のひとつですが、それを摂取するために毎日牛乳を飲むことや小魚を食べるのは難しいと感じられる方も多いと思われます。しかし、しじみの代表的な料理の味噌汁なら日本人の食生活にもなじみが深いため、手軽にカルシウムを摂取することができます。ここではしじみに含まれるカルシウムの効能について考えてみます。


2.カルシウムの効能

カルシウムは骨や歯を形成しているものとして知られています。それだけではなくカルシウムは生命活動に広く関わっているミネラルです。骨や歯の材料になるばかりではなく、ストレスを緩和させて神経を安定させる効果や血液の凝固作用や筋肉を動かすための神経細胞間の情報伝達などの役割があります。

2-1.生命活動維持のメカニズム
食品から摂取したカルシウムは胃酸などによって溶かされ他のち多くは小腸で吸収され、骨や歯に蓄えられます。体内に存在するカルシウムの99%は骨や歯に、そして1%が血液中や細胞中に存在しています。そしてカルシウムが不足してくると、その多くが存在している骨を溶かしてまでも濃度を保つシステムができており、これによって生命活動が維持されることになります。
カルシウムは骨や歯の中でリン酸と結合した固い物質となって存在しているものが多いのですが、血液中のカルシウムが不足した際には骨からカルシウムが溶け出してその不足を補います。そのため血液中のカルシウム不足が続くと骨がもろくなってしまいます。

2-2.筋肉反応のための情報伝達のメカニズム
カルシウムは神経細胞間の情報伝達にも重要な役割を果たしています。神経細胞の中に入り込んだカルシウムイオンが活性化させた物質が電気刺激を伝達することで神経細胞間の情報伝達が行われます。また運動神経から送られた電気信号が筋肉に到達した際にもカルシウムイオンが放出され、そのカルシウムイオンが筋収縮を抑制するタンパク質と結合することで筋肉が筋収縮を起こすことになって筋肉を動かすことができます。このような効能を得るために大切なことは、カルシウムが細胞の中と外で存在する割合が1:10000という比率を維持することです。この比率が維持されることによって、ホルモンの分泌や神経伝達物質の分泌が正しく行われて筋肉の反応がスムーズに行われるのです。


3.カルシウムの摂取量について

3-1.カルシウム不足が引き起こす症状について
人体の生命維持活動に広く関わるカルシウムが不足すると骨粗しょう症はもとより、認知障害や免疫異常、心疾患や糖尿病、高血圧症や動脈硬化など多くの症状を引き起こすことになるのです。特に日本人はカルシウム不足に陥りやすい栄養素とされています。

3-2.カルシウムの推奨摂取量について
厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、一日あたりの摂取の推奨量は例えば20歳代の成人男性でしたら800mg、成人女性の場合でしたら650mgと定められています。しかし、平成28年に厚生労働省が行った国民健康・栄養調査結果によれば、20歳以上の男女の平均摂取量は約500mg弱とされていて、通常の状態では不足しているのが常態化していると言えます。一般的にしじみの味噌汁一杯に含まれるカルシウムの量は220mg程度ですので、女性の方はしじみの味噌汁を一杯取ることで不足分を解消できます。男性の場合はしじみの味噌汁に納豆や豆腐などの豆類やイワシやホッケといった魚類、あるいは味付けのりのような海藻類などの一品を加えることで不足分はかなり解消できることになります。

3-3.カルシウムの過剰摂取について
カルシウムには摂取の上限量も決められており、その量は成人男女ともに2300mgとされています。この量は牛乳で言えば約2Lに相当しますので、通常ではこれだけの量を摂取することはあまりないと言えます。また、カルシウムを摂りすぎたとしても便や尿とともに排泄されますので一般的にはそれほど気にすることはありません。しかし、もし大量に長期間にわたって摂取した場合には泌尿器系の結石に代表される高カルシウム血症を発症する可能性もあります。サプリメントなどの服用で長期間にわたって過剰摂取の心配があるようでしたら定期的な血液検査とともに医師と相談しながら健康維持に気をつけましょう。


4.まとめ

しじみと言えば二日酔い、あるいは小さな体に豊富な栄養素といったイメージが強く、カルシウムが豊富だというイメージが思い浮かぶ方は少ないのではないかと思います。またカルシウムは骨や歯に必要な栄養素であることはわかっていても、幅広く生命維持活動に関与していることを知っている方は少いかも知れません。これを機会にカルシウムの働きを理解し、その摂取をしじみから行うことで美味しく生命活動を維持して健康な生活を楽しみましょう。

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